妄想部屋 ラスガイ 忍者ブログ
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ぬるいけどヤッてるので注意 追記から






 ガイが、付き合っていた女と別れた。今回は比較的長く続いていたし、上手くいっているようにも見えた。しかし突然俺の部屋に訪れた彼は一言、別れた、と言う。何があったのかなんて知らない。親友とはいえ他人だ。恋愛事情に首を突っ込む必要などない。
 かと言って、全身びしょ濡れのまま玄関に座り込む親友を放置するわけにもいかない。ボーカリストであるこの男に風邪でもひかれたらたまったものではないのだ。ライブだって控えている。
 ガイの頭にバスタオルを掛け、靴を脱がす。俯いたままのガイはその間も微動だにしなかった。髪から雫が滴り落ちる。
「シャワー貸してやる。早く行ってこい」
「……」
「聞いてんのか?」
 話しかけても全く返答がない。玄関の壁に身体を預け、長い脚を放り出して、まるで人形のようにそこにいるだけ。生気を感じられなかった。思わずため息が漏れる。
「…風邪引いたらどうすんだ。ライブはどうする。仕事だぞ」
 仕事、というワードに反応したのか、ガイの指先がピクリと動いた。そしてややあって、スローモーションのように立ち上がり、そのまま真っ直ぐ風呂場へ向かった。仕事を完璧にこなす、という信念だけが彼をかろうじて動かしている。
 俺は、ガイが歩いた後に残った水滴を眺め、煙草を取り出した。




 「フラれただけであの落ち込みようか?随分入れ込んでたんだな」
 「彼女のことを愛してたのもあるけど、まあ…タイミングの問題だ」
 シャワーを浴び、幾分か落ち着いたらしい。ガイは俺の部屋の冷蔵庫を勝手に開け、缶ビールを取り出した。しかし、よくも愛していたなどと簡単に言うものだ。こいつのことだ、嘘偽りのない、本心のままの言葉なのだろうけど。
 ガイは手近な椅子に腰掛け、ビールを一口飲んでから続けた。
  「あいつらが逃げて…こう見えて落ち込んでたからな。そんなタイミングで、好きな女にも嫌われた」
 ガイの言葉で思い出す。つい数日前、完璧を求めすぎるガイに耐えられず、俺以外のメンバーが一斉に去った。別にメンバーが抜けること自体はそれが初めてではなかったが、一気に抜けたのは今までにないことだった。事実上解散だ。次のライブはサポートを迎えて行うが、いつまでもそんなことはできない。俺以上に、リーダーであるガイは焦っていたのだろう。いや、それよりも、一斉に抜けられたことのショックが大きかったに違いない。この男は、常に気丈な振る舞いを見せるが、周りが思うよりずっと心が脆いのだ。
  「それで、傘もささずに俺の家か?」
  「いつものことだろ?」
 まだ湿ったままの髪の毛とは対照的な乾いた笑い。ああこれは、相当キてる。直感でそう思った。こんなに弱ったところを見せられるとは、どうやら俺は余程信用されているらしい。自惚れなのかもしれないが。
 ビールを飲むガイの喉仏が上下する。俺がすべてをかけてもいいと思った声。逃げたメンバーに対して、俺は憤りよりも同情する気持ちの方が強かった。もうこの声の後ろで音を奏でることができないのだから。思わず、ガイ、と彼の名が口をついて出た。
 「何?」
 「お前には、俺がいるだろ」




 一瞬だけ目を見開いた後、ガイは笑って「そうだな」と答えた。
 「だから、いつもここに来てる」
 ビールを飲み干したらしいガイが椅子から立ち上がる。そしてそのまま、俺にもたれかかった。甘えるのが苦手なこいつは、すぐにスキンシップを取りたがる。触れることで安心すると思っているからだなんて、普段のガイの言動や態度から誰が想像するだろうか。
 「お前がいてくれてよかった」
 「月並みだな」
 「もっと喜んだらどう?…それに、愛情表現はストレートなほうがいい」
 ガイは俺から身体を離し、かわりに唇を重ねた。限界が近付いているこの男は「誰か」のそばにいたいのだ。愛し合う相手がいない今、その「誰か」が俺だという、それだけの話だ。やっと見つけたこの声を、この才能を、俺が拒むことによって殺すわけにはいかない。ガイを守るため、と言えば聞こえはいいが、それで結局俺は自分を守っている。
 ガイが俺の首に腕を回し、二度目のキスをした。先ほどの触れるだけのそれとは違う、深いキス。腰に手を回し、俺もキスに応えてやる。それが返事のようなものだった。
 「…今日は、酷くされたい気分かな」
 「だろうな」
 「優しくするくせに」
 軽口を叩く元気はあるらしいこいつをベッドまで引きずり、また一度キスを落とす。男二人が乗るには狭いベッドで、手のかかる親友に馬乗りになった。




 「はぁ、あっ…」
 ストイックにトレーニングをし、食事制限もしているガイの身体は無駄がなくしなやかで、多少無理な体勢でも受け入れていた。
 「痛くないか」
 俺がそう声をかけると、ガイは小さく笑う。
 「僕は、…酷くしていい、って言ったよ…」
 そして俺にしがみつき、はやく、と強請る。こいつに今必要なのは体温と、それから、一時的にでもすべてを忘れるための快楽。俺がしてやれるのは、ガイが求める通りの行為だけ。
 細い腰を掴み、昂りを奥まで打ち付ける。びくり、と跳ねるガイの身体。
 「ぁッ、あぁっ」
 そこらの女より長い睫毛を濡らし、そこらの女より慣れた腰使いで乱れる親友を、何度も何度も突き上げた。
 この快楽に、俺は溺れてはいけない。こいつを救えるのは俺だけなのだから。こいつがいつ、もたれてきても支えられるように、しっかりと立っていなければならないのだから。
ガイが俺の頬に手を添える。名前を呼ばれる前に、その口を塞いだ。

***

 行為後の倦怠感が伴う身体で、視界に入るのが寝息を立てている男というのは妙な気分であった。しばらくその寝顔を眺めたのち、ガイの細く白い首に手をかけてみる。そして、全てを賭けてもいいと思ったものは、今ここで俺が少し力を入れただけで壊れるのだと思うとゾッとした。
 どんな手を使ってでも、この脆い存在を守り抜かなければ。
 ベッドから腰を上げ、ベランダに向かう。月のない夜。ガイが吸っているものと同じ銘柄の煙草に火をつけた。






・ガイがこんなガタガタに弱ることは今はそんなない!はず これは現ルシッドのメンバーと出会う前の話だからだいぶ若い頃
・若いっつっても未成年飲酒喫煙ではないからまあ〜20代前半ぐらい…ぼやぼや…
・④の最後でラストがガイと同じ銘柄の煙草吸ってるのは、ラストがいつガイに煙草って言われても渡せるようにいつも持ってるからっていう…だからガイのやつじゃなくて自前…
・そこまでするか?!って感じだけどそこまでしちゃうんだよなあ
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うちの子のくだらない妄想とかしてます。
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